大阪地方裁判所 昭和37年(ワ)865号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕被告荻野は事故車を自己のため運行の用に供していたものである。
すなわち
(1) 被告小田原は、同荻野が勤務する訴外久堀モータースに対し貨物自動車の買受を申込んだところ、被告小田原には資力信用が不充分であつたので、同被告に対する売渡を拒絶された。そこで被告小田原はその三年ほど前より知合いの被告荻野に対し、同被告の名前で久堀モータースより事故車を買受けてもらうよう依頼し、同被告はこれを承諾した。そして売主を久堀モータース、買主を被告荻野とする代金月賦払の売買契約が締結され、それとともに事故車の使用者および使用者根拠位置を同被告および同被告方とし、自賠責保険にも被告荻野が加入した。なお所有権名義は大阪マツダ販売株式会社に留保されていた。
(2) 他方被告両名間において、事故車の割賦金全額を被告小田原が支払つたときは使用者名義を荻野より小田原に移転すること、もし被告小田原が割賦金を支払えないときは、被告荻野が事故車を引取り、残金の支払については同被告が責任をもつという約定がなされていた。
(3) 被告荻野は自己が買受けた事故車の使用を以後被告小田原に委せ、同人は右車をその運送業のために用い、その利益より割賦金の支払も負担してきた。
(4) 代金六五万円二〇回払いの月賦は事故時未だ完済されていなかつた。
(5) 事故後被告荻野は、同人自ら原告側に対し示談を申入れ、それが拒絶されるや再度第三者を介して示談の申入れをしている。
以上の認定事実によると、被告荻野は事故車に対する支配を未だ失つておらず、自らの自由意思のもとに、直接使用者小田原の事故車管理運転能力を信用して、同被告に事故車を直接占有させたうえ、同被告が事故車を使用しての運送業によつてあげる利益の一部を受領して被告荻野が負担する代金債務の支払に充てていたものであり、したがつて事故車を支配し、運行利益を享受していたものといわざるをえない。<証拠略>(今枝孟)